12/12 いただいたメッセージへのご返信はこちら

高野和明「ジェノサイド」

2020年10月12日

(ネタバレあり) 人間を超える知性を持った新人類が辺境の地から生まれる、というアイデアはとても面白く(ネアンデルタール人にとってのホモ・サピエンスはそういう存在だった)楽しめた。

ただ、全体的に人間描写の掘り下げがいまひとつで、深い感情移入には至らず。

例えば主人公の一人、薬学部の大学院生は、たまたま会った重病の女の子を命がけで救おうとする。
立派なんだけど、そのモチベーション急にどこから生まれたの?

キャラクターが全体的に紙、ペラい存在感しか感じられない。
超人類のような異質な存在を描くのはうまいけど、等身大の人間を描くのは上手くない。

壮大な話を書こうとする人が陥りがちな罠だと思うんだけど、人間描写って小説の土台で、そこがしっかりしてないと感情移入は難しい。



この記事を書いた人
せみやま せみやま
生き物が大好きなWebエンジニアです。
身近な自然を楽しみながら暮らしています。

生き物とサブカルのポッドキャスト「セミラジオ」を配信中です!

詳細なプロフィール