裁断本を再製本してみた
突然ですが質問です。
年が明けてしばらく経ちますが、元旦は何をして過ごしていましたか?
僕は2021年の元旦は、妻が裁断本を製本するのを取材していました。
なので厳密に言うと記事のタイトルは「妻が裁断本を製本するのを取材してみた」にするべきなんですが、パッと見分かりづらいので変えました。
妻のバク子は元々、本を製本する事が好きで、自分用に手作りのノートを製本して使っていたんですが、今回は裁断本の再製本にチャレンジしたいという事でした。
元旦は気温も低く、外出する気にならなかった事もあり、ほぼ1日中、バク子が進める製本作業を手伝ったり、ブログ用に写真を撮ったりしていました。
自主製本という普段目にする事の無い取り組みの取材を通して、少しずつ本が出来ていく過程を楽しませてもらいましたし、何より完成した本のクオリティの高さに感動しました。
この記事では具体的な製本の工程や、完成した本について紹介したいと思います。
目次
裁断本とは?
本を裁断機で裁断し、スキャンしてデジタルデータ化する事を俗に「自炊」と言います。
自炊という言葉の由来は「自分でデータを吸う=自吸い」から来ています。
裁断本は、自炊をするために裁断した状態の本の事です。
工程1「本の背を加工して、ノリで固める(背固め)」 裁断本の再製本
まず、裁断本を二本の木材でしっかりと挟んで固定します。
本の背を硬いブラシやカッターでやすります。
こうする事で、ノリが背に染み込みやすくなり、後でノリづけする際に接着力が高まります。
カッターで裁断本の背に溝をつけて、ノリが染み込む余地を作ります。
本の背にノリとボンドを混ぜたものを塗り付け、固めていきます。
工程2「表紙を作る(表紙くるみ)」 裁断本の再製本
1ミリ厚の厚紙を使って、表紙の芯を作ります。上の画像の黄色い部分が、表紙の芯になります。
表紙・背・裏表紙それぞれの芯を作り、表紙用の紙に貼り付けます。
表紙の芯と、表紙用の紙を貼り合わせました。
芯から周囲15ミリ大きいサイズで、表紙の紙をカットしておきます。
四つ角をカットしました。
表紙の紙の端で、表紙の芯をくるみました。
持った感触がとてもしっかりしていて、かなりテンション上がりました!
工程3「表紙と裁断本を接着する前準備として、裁断本を和紙や製本テープで固定する」 裁断本の再製本
裁断本と表紙を接着する前に、裁断本を補強しておきます。
裁断本に合わせてカットした和紙をノリ+ボンドで裁断本にノリづけします。
ノリづけ後、乾かしているところです。
和紙と裁断本がノリづけできました。
製本テープで、裁断本の背を固めます。
裁断本の背を、白い製本テープで補強しました。
工程4「花布を作って裁断本に貼り付ける」 裁断本の再製本
丈夫な糸を布に挟んでノリで固め、花布にします。
今回、糸はチャーシューを縛るための強力な物を使いました。
縛られている豚の表情がシュールでいいですね。
花布をカットします。
花布を裁断本の背に貼り付けました。
工程5「表紙と裁断本を接着する」 裁断本の再製本
いよいよ大詰めです。工程1~4までで、大きく分けて「表紙」と「裁断本」の2つを作ってきましたが、その2つを接着します。
ボンド+ノリを裁断本の背に塗り付けます。
表紙と裁断本を接着します。
しっかりと接着できるよう、固定してしばらく寝かせます。
工程6「ハードカバーの溝を作る」 裁断本の再製本
背の付近に、糸で圧を加えて溝をつけます。
完成! 裁断本の再製本
数々の工程を経て、ついに裁断本から、製本された本が完成しました!
ちゃんと読める本になりました!!
今回、再装丁の手順や記事の作成、記事内の画像などを作成するために、和光大学附属梅根記念図書館様が主催された製本講座『My本づくり』のページを参考にさせていただきました。
大変参考になりました。ありがとうございました。
和光大学附属梅根記念図書館主催 製本講座『My本づくり』part1