ベビーパウダーは画材だった
僕の妻のバク子は画家をやっており、ギャラリーや他の作家さんから、個展・展示のDMをいただく事があります。
今回、そうしていただいたDMの内、あるDMに印画されていたアート作品の画材に、
「クレヨン、画用紙、ベビーパウダー」
と、書いてありました。
目次
ベビーパウダーは画材?
ベビーパウダーと言えば、赤ちゃん用の、汗ばむ肌をサラサラにしてくれる粉のこと。それを画材に使うと言うのは初耳でした。
妻のバク子に聞いたところ、
ベビーパウダー?
うん、画材だよ!!
うん、画材だよ!!
という答えが返ってきました。
どうやら、ベビーパウダーは本当に画材だったようです。
ベビーパウダーを画材として使うと、セミマットな質感が出せる
ベビーパウダーには、タルクと呼ばれる鉱物由来の成分が含まれています。このタルクの効果で、水分や油分を吸い上げ、ものの表面をなめらかに、マットにする事ができます。
例えば油絵の仕上げにベビーパウダーを塗ることで、セミマットな質感を出す事ができます。
これが、ベビーパウダーの画材としての用途のひとつです。
ベビーパウダーは版画にも使える! 余計なインクをベビーパウダーで吸い取る
銅版画の制作時にも、ベビーパウダーが力を発揮します。銅版画は、銅板に彫った線にインクをつけ、それを刷りますが、線以外の部分についた余分なインクを、ベビーパウダーをつけたパフで叩いてサラサラにする事ができます。
おしろいを画材にした実例・藤田嗣治のやり方
日本に生まれ、フランスに帰化した画家、藤田嗣治。藤田は、ベビーパウダーと同じタルクを含むおしろいを、自分の作品に使ったと言われています。
藤田の作品のいくつかは、油絵の上に墨汁で線が引いてある事が研究により分かっています。
ところが、油絵の上に、単に墨汁で線を引こうとしても、油絵に含まれる油分により、墨汁が弾かれてしまいます。
これを解決するため、藤田はおしろいを使いました。
油絵の上におしろいを塗る事で、吸水性のあるタルクの層を作り、墨汁で線を引くための下地としたのです。
ベビーパウダー画材説のまとめと、使用上のご注意
今回、ベビーパウダーと、類似の成分を含むおしろいを画材として使う利用例について、ご紹介しました。※ベビーパウダーに含まれるタルクについては、人体への影響など、諸説あるため、使用に関しては十分ご注意ください。