アカキノボリカンガルー ニューギニアのかわいい至宝
引用:トロント動物園
あまり知られていませんが、ニューギニアとオーストラリアの一部には「キノボリカンガルー」という動物が暮らしています。
今回はその中でも特に愛くるしい、アカキノボリカンガルーという動物について書いてみたいと思います。
全身画像。
目次
アカキノボリカンガルーとは
アカキノボリカンガルーは、オーストラリアやニューギニアを中心に生息する「有袋類」という哺乳類の1グループの仲間です。人間を含む「有胎盤類」が、お腹の中で赤ちゃんが大きくなってから産むのに対して、有袋類は未熟な状態で子供を産み、お腹の育児嚢で育てます。
アカキノボリカンガルーの生息地
アカキノボリカンガルーは、パプアニューギニアのフオン半島に生息しています。パプアニューギニアのウンボイ島にも生息していますが、この島には元々生息しておらず、人の手によって持ち込まれたと考えられています。
アカキノボリカンガルーの生息数
アカキノボリカンガルーの野生での個体数は、推定2500頭以下と考えられており、IUCNのレッドリストで絶滅危惧種に指定されています。アカキノボリカンガルーの身体的特徴
頭胴長:約50cm~80cmオスの体重:9~11kg
メスの体重:7~9kg
アカキノボリカンガルーは、キノボリカンガルー属の他の種に比べて筋肉質で、上手に木登りをします。
尻尾は頭胴長と同じくらいの長さがあり、木々の間をすばやく移動する際に、バランスを取るのに役立ちます。
耳は短く丸みを帯びており、聴力はあまり良くありません。
その姿から「熱帯雨林のテディベア」と呼ばれる事もあります。
アカキノボリカンガルーの生態
引用:Fred Hsu
木登りする若いアカキノボリカンガルー。
オーストラリアの平原をジャンプしているカンガルーとは違い、アカキノボリカンガルーは標高1,000〜3,000メートルの熱帯雨林に住んでいます。
基本的に単独で暮らす生き物で、オスとメスとその子供からなる小さなグループを作る場合もあります。
ほとんどの時間を木の上で過ごし、まれに餌を求めて地上に降りてきます。
跳躍力に優れており、最大9mもの距離をジャンプする事ができます。
1日の内、2時間程度を摂食に、14時間から15時間を休息と睡眠に費やします。
これは繊維質の植物を主食としているため、消化に時間がかかるためだと考えられています。
アカキノボリカンガルーは、赤ちゃんをお腹の育児嚢で育てます。
赤ちゃんは、生後約22週で袋から顔を出すようになり、28週頃には初めて袋の外に出て、自分でエサを食べるようになります。
41週にもなると、もうお母さんの袋に入る事はありません。
アカキノボリカンガルーの食物
食物の75%は植物の葉っぱや芽、果物ですが、鳥の卵や若い鳥など、肉食性の食物もとる事があります。アカキノボリカンガルーに会える動物園
アカキノボリカンガルーは、日本の動物園では飼育されていません。同じキノボリカンガルー属のセスジキノボリカンガルーは、よこはま動物園ズーラシアで飼育されています。
海外のいくつかの動物園では、アカキノボリカンガルーを見る事ができます。
ブロンクス動物園(アメリカ・ニューヨーク州)
引用:ブロンクス動物園
なんと、ニューヨークにあるブロンクス動物園で、アカキノボリカンガルーが飼育されているそうです。
大都会のキノボリカンガルー・・・かなり意外な感じがします。
ウッドランドパーク動物園(アメリカ・ワシントン州シアトル)
引用:ウッドランドパーク動物園
引用:ウッドランドパーク動物園
引用:ウッドランドパーク動物園
アメリカ西海岸、ワシントン州にあるウッドランドパーク動物園でも、アカキノボリカンガルーに会う事ができます。
すぐ上の写真は、2020年1月に生まれたばかりのKewengくんと、お母さんのエランナです。
リンカーン子供動物園(アメリカ・ネブラスカ州)
アメリカ中部、ネブラスカ州のリンカーン子供動物園(Lincoln Children’s Zoo)にも、アカキノボリカンガルーが飼育されています。トロント動物園(カナダ)
カナダ最大の動物園、トロント動物園でもアカキノボリカンガルーに会う事ができます。アカキノボリカンガルーの英名 Matschie’s tree-kangaroo
アカキノボリカンガルーの英名は「Matschie’s tree-kangaroo」。これはドイツの動物学者ポール・マッシー氏に敬意を表して命名されたものです。
マッシー氏自身がアカキノボリカンガルーを発見した訳ではなく、敬意を表して、という事のようです。
アカキノボリカンガルーの近縁種で90年ぶりに生息が確認された「ウォンディウォイキノボリカンガルー」についても書いています↓
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