キオビツチバチのオス
以前、このブログでキオビツチバチのメスについてご紹介しましたが、今回はオスのキオビツチバチを撮影する事ができました。
キオビツチバチのオス
キオビツチバチのオスは、メスよりも長い触角を持っています。他の種類のハチや、違う系統の昆虫でも、オスの触角が大きいケースが多いんですが、これは触角でメスが出すフェロモンを感知するためです。
大きな触角を持っているオスがメスの居場所を感知して、集まってくるんですね。
そして「キオビツチバチ」という種名の由来である、腹部の黄色いオビも、オスの特徴です。
分かりにくいんですが、キオビツチバチのメスは腹部の黄色い範囲が帯状ではなく二つの斑点になっており、触角と共に雌雄を判別するための目印になります。
キオビツチバチのオスは、6月に入ってから毎日のように庭を飛んでいる姿を見かけており、何度も撮影にチャレンジしていたんですが、近寄るとすぐに飛び立ってしまい、なかなか上手くいきませんでした。
今回、ツチバチが好きな花の近くで気配を消してじっと待ち、ツチバチが近くに来ても、悟られないように太極拳のようにゆ~っくり動く事で、なんとか撮影する事ができました!
息を潜めてカメラを構える僕の周りを、3匹のツチバチがブンブンと飛んでいました。
なんだか不思議な気持ちになりましたね。
ツツジの花に留まるキオビツチバチのオス。
二匹のキオビツチバチのオス。
長い触角。
羽ばたき。
キオビツチバチの生態・一生
キオビツチバチの幼虫は、母親が麻酔をかけて動けなくなったコガネムシの幼虫を食べて育ちます。母親のハチは前脚で地面を掘り進み、コガネムシの幼虫を見つけては麻酔をかけ、卵を産みつけるのです。
キオビツチバチの幼虫は孵化すると、麻酔がかかって動けないコガネムシの幼虫を食べ始めます。
それも、食べ終わるまではコガネムシの幼虫を殺してしまったり、腐らせる事がないよう、生命維持に必要な器官を巧妙に避けつつ、生かさず殺さずの状態で、上手に食べていきます。
この、ツチバチの幼虫が生まれながらに身につけている見事な食事の作法については、「完訳 ファーブル昆虫記」第3巻上に詳しく記されています。
コガネムシの幼虫を平らげたツチバチの幼虫は、蛹を経て成虫へと羽化し、地上に出ます。
オスは花の蜜を気ままに舐めつつ交尾相手のメスを探します。
メスは交尾をすると地面に潜り、頑丈な前脚で土を掘り進み、コガネムシの幼虫を探しては麻酔をかけて産卵する事を繰り返します。
メスのツチバチの生態は、まるでアリのようです。
オスはよく飛びますが、メスは地表をうろついている事が多いですね。
地表を歩いて探索して、コガネムシの位置を探っているんだと思います。
見た目も黒っぽくて、どことなくアリに似ていますし、実際にツチバチとアリは共通の祖先から進化した昆虫なのだそうです。
ツチバチの生態については「完訳 ファーブル昆虫記」の第3巻上と第4巻下に、詳しく記載されています。
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