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かつて三鷹にあった貸本漫画屋「ネオ書房」

2024年2月21日

かつて三鷹にあった貸本漫画屋「ネオ書房」 引用:Internet Archive


20年ほど前の事になりますが、東京の三鷹に住んでいた事があります。

山梨出身の僕にとって、三鷹駅は東京と山梨をつなぐ「かいじ」などの特急が停まる駅で(今はダイヤの変更により通過しているようですが)、住んでいて「故郷と繋がっている」という安心感がありました。

今回はかつて三鷹にあり、僕が一度だけ訪れた貸本漫画屋「ネオ書房」について書いてみたいと思います。


三鷹にあった貸本漫画屋「ネオ書房」

2000年~2001年頃の事だと思います。
三鷹の街をぶらぶらと歩いて散策していた時にたまたま見つけたのが、貸本漫画屋「ネオ書房」でした。

今だとTSUTAYAやGEOで漫画をレンタルする事ができますが、三鷹のネオ書房はそうした大手企業が展開しているものとは違い、こじんまりした、個人経営のお店でした。

お店に入るとご年配の物静かな店長がカウンターに座っており、びっしりと漫画が並び、とても静かだったと記憶しています。

お店の中に入ったのはその一度きりで、そこで漫画を借りる事はありませんでした。

貸本漫画とは

「貸本漫画」というものについては、かつてNHKで放送していた「BSマンガ夜話」という、漫画について徹底的に語る番組で情報を得ていました。

戦後しばらくの時代は紙が少なかったため、紙の消費を抑えられる貸本漫画が台頭したと、そういう話だったと思います。

そんな貸本漫画と、それを貸し出す店舗としての貸本漫画屋があった訳ですが、紙の供給が復活した事により、それらは姿を消して行きました。

僕の地元である山梨県の甲府近辺では、物心ついてから今に至るまで貸本漫画のお店を見かけた事がないですし、おそらく無いと思います。

なので、自分の地元である山梨県より、はるかに都会と言うイメージを持っていた東京に、貸本漫画屋があるとは思いもよらず、三鷹でネオ書房を見つけた時は驚きました。

三鷹の貸本漫画屋 ネオ書房の閉店と跡地

一度しか入った事が無いネオ書房ですが「三鷹に貸本漫画屋があった」という記憶は、自分の中に強く残っていました。

「あのお店、今もあるんだろうか?」
と、たまに思い返すものの、再訪する機会も無いまま、いつの間にか20年以上が経ちました。

今年(2023年)、東京に行く機会があり、わりと余裕のあるスケジュールだったため
「そうだ、三鷹の貸本漫画屋… まだやっているかもしれない。行ってみよう」
と思い立ち、久しぶりに三鷹を散策してみる事にしました。

三鷹駅で降り、かつてネオ書房を見かけた、南口方面へ歩き出しました。


三鷹駅南口 中央通り 石畳 床 三鷹駅南口から、まっすぐ南に続く中央通り。

ここの床は石畳調になっており、これは20年前から変わっていませんでした。
この床を見ると、三鷹を感じます。

三鷹に住んでいた頃、馴染みだった中央通りを歩いていきますが、知っているお店がほとんど見当たりません。
かろうじて、交差点にあるマクドナルドが残っていたくらいで、後は見覚えの無いお店ばかりでした。

20年前にもあったお店も残っているとは思うんですが、自分の記憶も曖昧なところがあり、なかなか「懐かしいな」と感じるお店に行き当たりません。

20年と言う時間の重みを感じました。

目当ての貸本漫画屋も見つける事ができず、自力で探す事はあきらめ、スマートフォンで検索する事にしました。

すると、三鷹にあったネオ書房は、2013年の時点で閉店している事が分かりました。
残念ながら再訪するのが、10年ほど遅かったようです…。


ネット上で、ネオ書房について書かれたいくつかの記事を見つける事ができたので、ご紹介させていただきます。

こちらは2010年にネオ書房について書かれた記事です。
この頃は、お店はまだ通常営業されていたようです。
記事を書かれた方の奥様がネオ書房をよくご利用されており、1冊50円で借りる事ができたのだそうです。


こちらの記事では、2013年1月の時点でのお店の外観写真を見ることができます。
ネオ書房は1つの建物を2つのお店で共有しており、以前、ネオ書房のお隣は寿司屋だったのが、2010年の時点では、まほろば珈琲店というお店に変わっていたとの事です。


こちらの記事では、2013年の6月、閉店したもののお店を開けていたネオ書房の店長さんとお話をされた様子が書かれています。


三鷹 貸本漫画屋 ネオ書房 跡地 まほろば珈琲店
上の写真が、ネオ書房があった場所の現在の様子です。

真新しい建物の看板には「まほろば珈琲店」とありました。

2013年の時点では、ネオ書房は「まほろば珈琲店」と建物を共有していたようです。
その後、ネオ書房が閉店し、後には「こいけ菓子店」というお店が入りました。

こちらの記事によると、かつてネオ書房が入っていたその建物は、2022年5月に取り壊されたようです。

そして2023年の3月、僕が訪れた時点では、真新しい「まほろば珈琲」の看板がかかった建物が建っていました。
おそらく、建物の取り壊しのために一時休業されていたまほろば珈琲さんが、新店舗で営業されるのではないかと思います。

かつてネオ書房と同じ店舗で運営されていた珈琲屋さんが、同じ場所で新しいスタートを切る訳ですね。

三鷹にまた立ち寄った時は、ぜひ訪れてみたいなと思います。

阿佐ヶ谷の書店・ネオ書房

阿佐ヶ谷ネオ書房

三鷹の貸本漫画屋「ネオ書房」を運営されていた方のご親族が、阿佐ヶ谷で運営されていたのが、書店「ネオ書房」です。

こちらも2019年に閉店したのですが、評論家の切通理作さんがお店を受け継ぎ、再スタートをされました。

現在は不定休・営業時間不定となっているようで、お店のツイッターか、店長の切通理作さんのツイッターで、開店状況を確認できるようです。


ネオ書房を探して三鷹に降り立ったのと同じ日に、阿佐ヶ谷ネオ書房にも行ってみたのですが、残念ながらこの時はお休みでした。

この記事を書いた人
せみやま せみやま
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Posted by せみやま