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新訳ビーグル号航海記 上

新訳ビーグル号航海記 上

進化論を唱えたダーウィンの著作「ビーグル号航海記」を、荒俣宏が訳した「新訳ビーグル号航海記」の上巻を読みました。

イギリスの軍艦・ビーグル号に乗って、生物学者として南米大陸やガラパゴスを調査したダーウィン。

この航海で立ち寄ったガラパゴス諸島の生物の観察を通して、進化論の着想を得ました。

上巻は、南米大陸での調査について記されています。

フォークランドオオカミ

新訳ビーグル号航海記 上

フォークランド諸島の調査では、フォークランド諸島に棲んでいた唯一の肉食動物、フォークランドオオカミが登場します。

体長90cmほどの大型のイヌ科動物で、家畜を襲うと考えられた住民によって駆除され、1876年には絶滅しました。

ダーウィンが調査した1830年代には、まだ生きていたフォークランドオオカミですが、「数を急激に減らしている」「いずれドードーと同じく絶滅する事になりそうだ」とダーウィンが指摘した通り、人間の手によって絶滅する事になりました。

フエゴ島の住民

南米最南端にあるフエゴ島には、かつて寒冷な環境の中、グアナコの毛皮を身につけ、動物の油を体に塗って寒さをしのいで暮らしていた、モンゴロイド系の民族が暮らしていました。

セルクナム族やヤーガン族など、いくつかの種族の内、セルクナム族は絶滅しましたが、ヤーガン族はわずかな子孫が今もフエゴ島で暮らしています。

ビーグル号には、以前の航海でイギリスに連れ帰られて育てられた3人のヤーガン族が同船し、ダーウィンが同行した航海では、彼らを故郷の集落に送り届ける事になります。

新訳ビーグル号航海記 上
イギリスに連れ帰られ、その後フエゴ島に戻る事になった3人、
フエギア・バスケット、ジェミー・ボタン、ヨーク・ミンスター。


ジェミー・ボタンは集落に戻された直後は現地の言葉を忘れていましたが、1年後にビーグル号が寄港した際は若い奥さんを連れて、地元に馴染んでいました。


その後、金鉱の開発のために入植してきたヨーロッパ系の移民とフエゴ島の住民との間には軋轢が生まれ、フエゴ島の住民は大きく数を減らす事になってしまいます。

この本を読むと若きダーウィンと、イギリスの暮らしを知りつつフエゴ島に戻っていったジェミー・ボタンの姿が、想像の中で立ち上ってくるようでした。


新訳ビーグル号航海記 上
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この記事を書いた人
せみやま せみやま
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