昆虫物語図鑑(岸啓介)
以前から愛読している、この「昆虫物語図鑑」という本。
造形作家の岸啓介による、架空の昆虫の生態写真と物語が収められた楽しい本です。
造形作家 岸啓介
1998年に「たけしの誰でもピカソ」勝ち抜きアートバトル3代目グランドチャンピオン獲得。レトロで可愛らしい、でも時に怖さもある、独特の造形作品を発表しています。
「昆虫物語図鑑」は2002年に発売しました。
昆虫物語図鑑
昆虫物語図鑑には「鳥居の虫」「ダイスの虫」など、全10種の不思議な虫たちの生態写真と物語が収められています。鳥居の虫
「鳥居の虫」の章は、クワガタムシ科のヘラヅノベニクワガタという虫についての物語になっています。
物語のあらすじは、以下のようなものです。
ある時この不思議な虫を見つけた村人が、日によって虫の角の色が変わる事に気づいた。
晴れの前日は赤、雨の前日は青というように。
天候を事前に知る事が出来るようになったその村人は、効率的な農業によって富を築いた。
しかし、さらに欲深くなった村人は、虫の角の色を塗り替えて、自分の意志で天候をコントロールしようとし始めた。
ついに虫は弱って死んでしまい、天候は荒れ狂うようになってしまった。
後悔した村人は虫の霊を鎮めるため、神社に虫の角の形をした碑を建て、色は晴天を現わす赤で塗った。
これが鳥居の始まりである。
ダイスの虫
ダイスの元になったという、ナンヨウロクメンタマムシ。
絵の具の虫
絵の具の元になったヨーロッパイロフキコガネムシ。
まとめ
昆虫物語図鑑は、収められている虫の造形がどれも面白く、美しく、眺めているだけでも楽しめます。加えて、それぞれの虫をルーツに鳥居や絵の具が出来たという「あったかもしれない秘められた歴史」を物語として味わう事ができるので、70ページほどの本ですが、実に濃密に楽しめる本になっています。